まさに虚仮の一念、岩をも通す
BSテレ東としては何度目かの試みとなるが(確か最初は「タワーリンク・インフェルノ」だったと思うが、こういうテレビの映画枠に対する局側の力の入れ方がよくわかって実に好感が持てるのだ)キャスティングも下記の通り納得いくメンバーで構成されていたのである(またオリジナルが103分しかないためこの日の放送でカットされた尺は僅かだった←CM切って確認したら97分になっていたので)
○リチャード(クリストファー・リーヴ)・・・ささきいさお
○エリーズ(ジェーン・シーモア)・・・甲斐田裕子
○ロビンソン(クリストファー・プラマー)・・・羽佐間道夫
わたしは世代的に「スーパーマン」はリーヴ版が一番しっくりくると思っていて(シリーズ4本すべて劇場へも行ったし)テレビオンエアがあったときも特に最初のヤツは83年に日曜洋画劇場でノーカット/ステレオで放送されており、あのときの吹き替えの印象がとても良かったため、未だにリーヴといえばささきいさおであろとうという刷り込みがされていたのであった。蛇足ながらそのときのキャストは下記のようになっていたのだが、まあこれほど適役という配役は無かったのではないだろうかね。
○クラーク・ケント(クリストファー・リーヴ)・・・ささきいさお
○ロイス・レーン(マーゴット・キッダー)・・・中原理恵(♪東京ららばい♪などで知られるシンガー。確か声優は初挑戦だったと記憶しているが、意外と合っていた)
○クリプトン星でのクラークの実父(マーロン・ブランド)・・・大平透(初代スーパーマンの声を担当された大平さんがここにいるというのが素晴らしい)
○レックス・ルーサー(ジーン・ハックマン)・・・小池朝雄
○ミス・テッシュマーカー(ヴァレリー・ペリン)・・・小原乃梨子
ほかにも古谷徹や近石真介や神山卓三と何処まで行っても良いメンバーなので、これも私の中では「ゴッドファーザー」(地上波放送版)の次くらいに吹き替え>字幕がベストという、そういう位置づけの映画になってしまっている。で、少し横道に逸れたので「ある日どこかで」の話に戻るけど、この映画との最初の出会いは以前も書いたが雑誌「スターログ」(1981年1月号)の記事を読んだのが最初だった。

残念ながら日本公開時にこの映画を見ることがかなわず(徳島で上映があったのかどうかも覚えていないが、田舎の中学生にとっては街中にしかなかった映画館に一人で行くのに多少ハードルが高いところもあったのかな)私が「ある日どこかで」を見たのは成人後LDのソフトを買ってからで、ファーストインパクトから既に10年近くは経っていたのでは無いだろうか。
入手した日はもう勢い込んで見たのだが( ̄。 ̄;) 自分の思っていた以上にSFファンタジーではありながらも正攻法の綺麗なラヴストーリーだったことに驚いてしまった。ふだんこういうジャンルはあまり見ない我が輩ではあったのだけど、最後まで見たら10年前に雑誌を見てエリーズ(シーモア)に見惚れた自分と劇中のリチャード(リーヴ)の気持ちが怖いくらいシンクロしちゃって( ̄。 ̄;) 今ならストーカー扱いされかねない彼の行動すべてを応援したくなる心境に陥ってしまったのであった。
とにかくリチャードのアプローチはすべてが直球で情熱的。しかもこれだけのイケメンであれば会って二日で恋に落ちるのも無理はあるまいという説得力に満ちていたのである。またエリーズの方も籠の鳥のような生活に飽き飽きしていたタイミングで現れた「予言の男」(ロビンソン(最近亡くなったばかりのクリストファー・プラマー)が「いずれそういう男が現れて君を破滅させる」と言っていた事で、これは特殊能力でも何でも無く彼に先見の明があっただけ。おそらくエリーズはオトコで仕事がダメになるタイプと踏んで脅しをかけていたのだろうと推察←最初見たときはこいつもタイムトラベラーで未来から来たのでは?と思っていたけど( ̄▽ ̄;))に対して心を開きやすい状況があったわけで、ここは映画ならではの無理矢理なカップル成立感はほとんど感じられず。

失意の中で彼らが初めて会った同じ場所へ行ってみるとそこが今ではゴミだらけになっているのも対比描写としては秀逸で、彼の悲しさと虚しさがあのカットだけでどーんとこちらに迫ってくる物があり、最後の最後がああいうことになってしまったのは仕方ないとも思えたのだが、不思議と悲劇には感じられなかったのもこの映画の特徴で、別の時間軸ではこの出来事が果てしなくループしていく(過去のエリーズはリチャードを求めて1972年まで探し続ける←あの懐中時計はどっから来たんや?ってのがこの映画最大のタイムパラドックスではあるけど)のは確かで、たった二日の逢瀬を無限に繰り返していくと考えればこういう幸せの形もあるのでは?と考え直すこともできたのである。
まあ能書きが長くなってしまったが(__;) 何せこの映画のクリストファー・リーブは抜群にカッコ良く、ジェーン・シーモアはひたすら美しい。この二人なくしてこの映画を語ることはできないだろうというくらい魅力的だった。特にジェーン・シーモアは最初に映画の存在を知った時点(1981年)ではボンドガールであったことも知らなかったし、テレビドラマ「宇宙空母ギャラクティカ」のきれいなシングルマザー(アポロの恋人・セリーナ役)だったのもだいぶ後になってから知ったくらいで、それくらいこのエリーズ役は彼女のキャリアで最高の仕事だったのではないかと私は思い込んでいるのだ(「シンドバッド虎の目大冒険」にも出ていたそうだが全然記憶に残ってないわ(__*) あとでブルーレイ見てみないといかんな。テレビドラマではほかにも「ドクタークイン/大西部の女医物語」で主演)
我が輩がこの映画でもっとも感動したのは例の写真が撮られた経緯が判明した瞬間で、なるほどこの表情はこのタイミングだったから出せたんだな、それに別の時間軸にいた後の時代のリチャードがあれほどこの写真に夢中になったのも然もありなんだよなって一気に合点がいったところだった(と、同時に見ているこちらも彼女の表情に目が釘付けになってしまった。おそらく私もこの瞬間、映画のことを初めて知った14才の時に戻ってしまったのだろうね)
そんなわけで何度も見ていた映画ではあったけど、この新しい吹き替え版もなかなかの良さで改めて初見時の感動を想い出した次第であります。やっぱり何度見てもシーモアは綺麗でした(3年前に67才で米プレイボーイ誌のグラビアを最高齢で飾ったというのもなんか頷ける話だなあ・・・ホントに綺麗な人はいつまでも綺麗なのね)
それからこれは余計な話だけど原作者であり脚本も担当したリチャード・マシスンはこの話の着想を思いついたのがサンディエゴのホテルに泊まったとき、そこに飾られていた女優の肖像画に一目惚れして彼女の経歴を事細かく調べたことがあったそうだ。まさに映画の中のリーヴの行動は現実に原作者が実行したことでもあったのである(そこから彼女に会うにはタイムトラベルしか無い!と考えたのがさすがSF作家という感じ←タイムトラベルの方法が理屈や理論ではなく気合いと情念一本!で押し切るのはこういうことがあったからかもしれないな)
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