育てられた我々が思い切り読むのである

出版は「アンドナウの会」というグループが行っており、過去には私も「僕らを育てた合成のすごい人・飯塚定雄」と「僕らを育てた本多猪四郎と黒澤明・本多 きみ」の2冊を入手して読ませて貰った。
今回の池谷さんのインタビューは追悼と言うには遅いけど(池谷さんは2016年にお亡くなりになっている)生前の貴重なお言葉をこれだけのボリュームで(総ページ数150でインタビュー部分は104ページ←残りは注釈と解説)読めるのは同人誌ならではの深掘り具合があって読後はお腹いっぱいという気分に浸れた(聞き手は怪獣絵師の開田裕治さん、特撮研究所の三池敏夫監督、アンドナウの会の 高倉一般さん)
特に私は「帰ってきたウルトラマン」が大好きだったので、その初期の怪獣たちをデザインされた池谷さんには第一期ウルトラの怪獣生みの親である成田亨さん以上に親愛の念を抱いていたのである(ツインテールとグドンなんてその代表格みたいなヤツらだったなあ)
※池谷仙克さんプロフィール
この本では取材日のデータ等が記載されておらず(私が見落としている可能性もあるけど)いつ頃の話かというのは文脈で想像するしかないのだが、おそらくは2012年あたりからスタートしているような感じではあったかな。
一読して思ったのはやはり池谷さんは「怪獣(特撮)デザイナー」と一括りにされることを嫌悪されていたのではないかということ。これは先輩の成田亨さんと同じでアーティストとしては当然の態度であるとも言えるが、どこかで「一般の作品でもっと評価されたかった」という本音が若干滲んでいたようにも感じたなあ(当然特撮の仕事がイヤだったわけではなく、あくまでもいろんな仕事の中で「そういうこと」も真剣にやってきたという捉え方をしてほしかったというのはインタビューを読んでいるとよくわかる。けっきょく最後まで"怪獣デザイナー"としての評価が一番になってしまったことに忸怩たる思いもあったのでは無いだろうか)
それで読んでていてスゴいな、さすがだなって感じたのは怪獣デザインがもう行き着くところまで行ってしまって今は創造が難しくなっているという話題になったときに池谷さんが「イメージが出尽くすなんてことはあり得ない」と力強く仰ったことで、なんてカッコ良いんだと感動してしまった(70歳を超えてなお現役クリエイターとしてのプライドを滲ませたオトコマエ発言だったなー(>o<))
それ以外にもいろんな映画・テレビ作品にまつわるエピソードが満載なので、興味ある方は一度読んでみていただきたい。このシリーズはAmazonはじめいろんな通販サイトで入手可能なので比較手に取るのもイージーだと思われます。
・Amazon購入ページ
・まんだらけ通販(Amazonで品切れの物が古本で売られていることもあり)
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