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こんな夜更けに白蛇と雪女かよ(後編)

前編を書いてからすでに10日以上が過ぎてしまった。この間「映画秘宝」休刊のお知らせが入ったり、みなみ会館の吉田館長がテレビ「ビーバップハイヒール」に出演したりと( ̄。 ̄;)大小様々なニュースがあったわけだが、なんとかここも通常運転に戻らねばと思っている次第である。

そんわけでこの日(12/7)の2本目_

「怪談雪女郎」(監督/田中徳三  昭和43年)

こちらは確か子供の頃に何度かテレビで見た記憶があるのだが、たぶんもう何十年も見返したことはなかったはず。

上映前にはみなみ会館のスタッフがスクリーンサイズを調整しだして、あ、そういえば「白夫人」はスタンダードサイズだったんだって事をこの時点でようやく理解したのであった( ̄。 ̄;)(←遅いわ。「雪女郎」がワイドスクリーンだったからわかったようなもので)

考えてみればこの日上映された二本はどちらも怪(あやかし)の存在たる物が人間の男に一目惚れして添い遂げようとする話で、一見すると同じような話が続いているかのような気もするのだけど、見終わってみれば全くタイプの異なる映画だったことに気がつくのである。
画像1それはどちらかといえばカラー絵本のような色調で起伏の激しい物語を魅せていく「白夫人」に対し、こちら「雪女郎」の方は主に雪の「白」、そして影・夜のイメージである「黒」のモノトーンな風景を基調とした世界の中で淡々と展開していく寓話という感じだった。

映画が始まって早々に登場する雪女の姿は美しいが同時に恐ろしくもあり(雪女役の藤村志保さんを白塗り・白装束にしてややキツ目のアイメイクを施しただけではあるのだが、この目力が迫力満点 ※左写真参照)

さらに吹雪が舞い散る幻想的な背景をバックにすーーっと平行移動して近づいてくる演出が妖怪指数をぐっと上げており、そこには過度なメイクや仕掛けは一切ないにもかかわらず雪女の恐ろしさが十分すぎるくらい伝わってくる物があったのだ。

このときに雪女は一人を殺めた上でその場に一緒にいた与作(石浜朗)に対して「おまえは若くて美しい。命は助けてやるからこのことは誰にも言わぬと約束しろ」と語るのだけど、おそらくはこの時点で彼女は一族の掟を破ることになってしまったと思うのである。そのため一度人間の姿に変身し(説明はなかったけどそのことで常時雪女の姿でいることはできなくなったのかもと、そんな想像もしてしまった)与作の妻となるべく彼に近づいてきたのは恋愛感情は勿論だが、彼が最後まで約束を守れるのかどうか、それを見定める必要もあったと考えていたのではないだろうか。

2.jpgそれであらためて「ゆき」という名の娘となって登場した藤村佐保さんだが、これがまあ本当に"さすが!"としか言いようのない可憐さだったのである。

右の写真は与作の家の庭先で雨宿りをしているところを最初は後ろ姿から映され、ぱっと振り向いたところなのだがみなみ会館の大画面を見ながら思わず「おおっ」と声が出そうになるくらい綺麗だったので(劇中でどぎまぎしていた与作と心情が完全にシンクロしていた気分(__;))そのお姿には我が輩軽く感動を覚えていたのであった。

ここからゆきは与作と所帯を持って太郎という息子もでき幸せな家庭を築いていったのだけど、数年経ってこの夫婦に様々な障壁が立ち塞がりそれを「雪女としての超能力」を駆使した内助の功(?)で次々に突破していくのがあまりにも健気だったのである(ゆきに言い寄ってきた男を一瞬にして凍死させるところはその極み。この場面では金色のカラコンを入れてさらに凄みを出した表情が直前の良妻賢母ぶりから一転。ここまで彼女が物の怪であることを観客側には忘れさせていたこともあり、転換の仕方としてはより効果的)

そこまでして与作に尽くしたゆきも最後には正体を見破られ、約束を守ることができなかった与作を殺さねばならないという事態に陥るのだがギリギリのところで夫への愛と息子への母性が勝り、一人雪原の中へと消えていくラストシーンはあまりにも物悲しくて美しかった(太郎が母を呼び続ける場面は涙を誘うよな~・・・(T^T) ちなみにだが太郎役は「ウルトラマンタロウ」で健一君役をやっていた斎藤信也。たぶんまだ5歳くらいだったと思うけど達者に役をこなしている。じつは篠田三郎よりも先に「タロウ」を演じていたと言う( ̄。 ̄;))

この映画は言ってしまえばR15版「日本むかし話」でしかないという見方もあるのだけど、意外性やどんでん返しみたいなものが全くない「ベタ中のベタ」ではありながら、ここまで面白いと思えてしまうのはたいしたもんだと感じずにはいられなかった(これは同じ大映の「大魔神」や「妖怪百物語」などと同様、ジャンルが怪獣モノだ妖怪モノだという前に、まず時代劇として腰の据わった作りになっている事がそう感じさせているのだろうと私は思うのである)

土台がしっかりしているのは見ていれば一目瞭然。また大映時代劇の特徴としては悪役がホンマに腹立つキャラ作り(一時でも「よい人」のオーラを見せない)をしているのが良いのだ。また忘れちゃいけないのはこれも音楽が伊福部昭さんの手による物で、ときどき「大魔神」を思い出させるのはそのせいもあったけど、サントラが出ていない(私が知らないだけでどこかが出していたかもしれないのだけど)事もあり本作の劇伴は曲としてもなかなか新鮮だった。

今回の2本は特撮的にはそれほどの大仕掛けというのはなかったけれども(「白夫人」の大洪水シーンくらい)過去みなみ会館で見た映画の中では一にを争う面白さだった。やっぱり何でも未見だったりインターバルが長期に及んでいる映画の方が脳反応は素直ということなのだろうね。

最後に28日の「京都怪獣映画祭ナイト8」の追加情報として、ゲストのマッハ文朱さんが「宇宙怪獣ガメラ」の主題歌♪愛は未来へ・・・♪を生で唄ってくれるそうです。まさに歌詞の通り「(ガメラを)愛する者のために行け」を地でいく話になっているとか(前売りも完売しているらしいしきっと異常な盛り上がりになるだろうねー。こんなことなら無理してでも行けば良かったな・・・(__;))

※「怪談雪女郎」の予告編動画が見つからなかったので、代わりに「宇宙怪獣ガメラ」をご紹介。
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しろくろShow
Posted byしろくろShow

Comments 2

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楽珍劇場  

「特撮秘宝」も無くなってしまうの!?

コンバンワ!
「映画秘宝」休刊はビックリしましたね
出版元の洋泉社自体が解散するようなので「秘宝」関連の新刊が期待できないのが何とも…
非常に残念です

新生みなみ会館は良い感じみたいですね~
早く遠征する機会を作らなければ…

『シン・ウルトラマン』のビジュアルも公開されて期待も膨らんでおり、
いつの日か「怪獣映画祭NIGHT」で庵野秀明作品特集を組んでくれる事を夢見ております

(今回レビューShowさんがされた2本は未見でコメントできないのです…スミマセン)

2019/12/28 (Sat) 21:23
しろくろShow

しろくろshow  

年の瀬に残念なお話でした

>楽珍劇場 さん

こんばんは、コメントありがとうございます_(._.)_

「特撮秘宝」は言うに及ばず別冊も含めていったん白紙の状態になると言うことらしいですね。いやもうほんと残念と言いますか悲しいと言いますか・・・(T^T) 私も年内最後の記事で「秘宝」の事に少し触れようと思っていますが、宝島社が新雑誌として後継本を出版することを期待しています。

新みなみ会館はひじょーに綺麗な作りになってました。来年はどこかでスケジュール調整してご一緒できるようにしたい物です。

2019/12/29 (Sun) 21:06

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