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大山が鳴動するとき、怪獣は出現する

前記事に書いたとおり、11/23-25日の三連休、我が輩は米子で開催された「第八次米子映画事変」に参加してきた。ここへの遠征は通算三度目となるが、毎回の目当ては"全国自主怪獣映画選手権"なのである。この大会はプロの特撮監督である田口清隆さん(「ウルトラマンギンガ」以降の近年のウルトラシリーズを本編・特撮両面で演出担当されている方でもある)がプロデューサーを務め、過去には米子以外でも高松・調布・京都・ゆうばり等日本全国で開催されてきたもので、若い人にとってはプロへの足がかりに成り得るイベントでもあるのだ。

中でも米子は第一回を皮切りに何度か大会が開催されているのだが、これまでの会場は商店街の空きテナントを使用した場所が多く、狭い・椅子痛い・トイレなしの三重苦が揃っていたのだけれども今回は初めてメイン会場であるガイナックスシアター(イオン米子駅前店の中にある以前はシネコンが入っていた場所。現在は米子ガイナックスがイベントホールとして利用している)での上映と言うことで大画面+大音響の好環境下、より集中して鑑賞することができたのであった(椅子はパイプ椅子だったけど長時間着席を辛抱できるレベル)
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私は最前列に座ってかぶりつきで見させてもらったのだが、時間は13時~16時半までで上映総本数は全部で11本。以下にこの日見た各映画それぞれの感想を簡単に記しておくとする。

-第12回 全国自主怪獣映画選手権 米子大会-


1.「怪鳥トリンドルを探しに行ってみた・少女編+動画配信者編」(ももたりょう 監督作品 8分)・・・ももた監督によれば造形技術等のノウハウがない分遠近法だけでどこまで怪獣の巨大感が出せるかというのにチャレンジしてみたかったとか。その意図はよくわかるけど絵の方でそれが表現できたかというと微妙なラインだった。また、内容面でもこの作りならもう一本別のキャラを投入して落語の三題噺の形にしたほうが良かったのではないだろうか(お笑いで言うところの天丼状態に持ち込んでそれを合計三分くらいでまとめればもっと面白かったような気がする。ちなみに少女編の女の子は怪獣造形担当の人の娘さんだそうである。父親の趣味に一生懸命付き合ってくれるとはなんて良い子なのかと、映画よりそっちの方に感動してしまった)

2.「私が怪獣になっても」(松山泰徳 監督作品 12分)・・・怪獣版「ゲバゲバ60分」みたいな作りで私はかなり面白いと思った。全編が完全にショートコント連作の体をなしているため怪獣の作り込みが甘いのも許せてしまえるし、なによりヒロインの子がかわいかったのは高ポイント(と、思ったら彼女タレントさんだったそうで、今になってなるほどなと←真野未華という人らしいが私は全然知らないおねいさんだった)

3.「侵略は突然に・もっと!完全版」(渡邊健太郎 監督作品 4分)・・・侵略に来たと思しき宇宙人と地球人の女の子の対話だけで構成されたわりとありがちな話ながら発想の起点になったのはやはりウルトラセブン「狙われた街」だろうか?宇宙人のスーツが意外とちゃんと作られていたのは感心したがオチがやや弱くあまり印象に残らない。

4.「荒御魂-アラミタマ-予告編」(林利彦 監督作品 1分)・・・監督挨拶の中で本編は必ず撮ると仰っていたけど、この感じだと完成品はかなりいろんな要素が詰め込まれそうな感じ。中身はアイドル+怪獣が売りだそうで、予告で見た限りだと飛行機のプラモの作りもかなり力が入っていたし、それに付随したミニチュアも相当数出てきそうなんで見てみたい気はする。但しまだ予告だけの段階なので(__;)過度な期待は禁物。とにかく早く本編を見せてもらいたい。

5.「休眠怪獣シロヤマ」(河本幸樹 監督作品 12分)・・・これは米子高専放送部の生徒による作品だが、このクオリティの高さはかなりのモノ。「休眠怪獣」というアイディアもユニークだし地元言葉を駆使した台詞も自然に感じられて白々しさが皆無。「怪獣映画」としてのパンチ力は少々物足りないものの"動かない怪獣"という設定が旨く機能して見易い構造になっている。現役学生が大挙して出演しているためローカル風味のジュブナイル映画としても見られるし、主演の姉妹(よく似ていたのでホントの姉妹だったのかもしれない)の「普通さ」がそれをより助長しているのも実に良かった。こういう作品を何気に出品してくるとは恐るべし米子高専放送部である(地元では高校生の映画コンテストで二連覇を達成したりと実力ぶりは以前から有名だったとか)そんなわけで我が輩当然のようにこの映画を一位に推しております。

6.「大怪獣ピーゴン現る!?」(守田一博 監督作品 10分)
7.「京都市立深草中映画研究会夏の活動」(守田一博 監督作品 11分)・・・この二本は二〇年以上前に京都深草中学で撮影されたものらしく、それを顧問の守田先生が最近になって編集し直したものだそうである。「ピーゴン」の本編については微笑ましい学芸会の映画版みたいなノリで、子供たちの素直な演技に癒やされる保護者目線で見てしまう作品ではあったが(とはいえ怪獣の造形とかミニチュア特撮のシーンとか大道具の細かい使い方なんてのは二〇年以上前の映画だったにも関わらず、ここまで見た中ではいちばん頑張っているように見えた)むしろそのメイキング扱いである「夏の活動」の方が様々な映像処理を施されたドキュメンタリーとしてよくできていたと思うのである。生徒たちを全員写真の切り絵で人形アニメのように撮影して「ピーゴン」がこうして撮られたんだと言うのをおもしろおかしく紹介し、子供たちが心から楽しんで映画作りに邁進しているのが伝わってくる好編にもなっている(これを彼らの同窓会で流したらめっちゃ盛り上がると思うなあ)

8.「ゾギラ・ゲポパ・キギーメ/地獄の怪獣最前線」(田中まもる 監督作品 19分)・・・この大会のレギュラーでもある田中監督の新作(この人は人間そのものも面白いと私は思うのだけど( ̄。 ̄;))彼の作品は毎回上映会では最大の爆笑を以て迎えられていたが今回もそれは健在。バランスの悪いパロディの集合体(コレとアレはわかるけど、ココでなんでコレやねん!という思いつきにしか見えないそのセンスが奇妙なまでに可笑しいのだ)を繋げながら一作ごとに細かいテクニックが増えているのは素直に評価できるポイントだと思うのである。すべてを一人で、しかも自宅のみで作られた田中さんの映画は他に例を見ない家内制狭小ローテク特撮と言えば良いのか、はたまた平成の電気紙芝居と表現すれば良いのか、とにかくオンリーワンで独特の(見ているとクセになる)世界観を持っているのがこの人の強みでもある。

9.「鉄の探偵・予告」+「機械忍者」(黒川陽平 監督作品 二本でだいたい10分)・・・こちらも米子大会ではおなじみのトクサツ少年、黒川兄弟の新作と前作。「鉄の探偵」はなんとこの日までに映画が完成せず(;´Д`)予告しか流すことはできなかったのだが「ロボット刑事」風のビジュアルがなかなかに興味を引いた。「機械忍者」は「牙狼」「ゼイラム」調の仮面アクションで、こちらもずいぶん撮り方が上手くなってきたなという感慨に浸ってしまうものとなっていた。なにせ我々は彼らの小・中学校時代からの作品群をこの大会で見ているわけで、身内じゃなくともこの子達の成長をこうした作品履歴を辿ることで感じてしまうのである。こういう気分は他の作品ではなかなか味わうことができない。

もともと米子の第一回大会で客として来場していた彼ら三兄弟(もう一人お兄さんがいるそうだがこの子はトクサツには興味ないらしい)がたまたま田口監督から「大怪獣映画G」のDVDを贈呈してもらい、それに触発されて怪獣映画を撮りだしたのが七年前。兄弟のリーダーで監督の陽平くんは今一八歳で(2年ぶりに見たらすっかり大きくなってビックリしたなー。しかもずいぶんイケメンになってるし)来春にはついに上京してこの業界を目指すそうだから、小さいながらも田口さんのやってきたことは意味のあることだったんだと思わずにはいられなかった。きっと彼は数年後にゴジラかウルトラかライダーまたはスーパー戦隊の撮影現場にいることだろう。

10.「女兵器701」(田口清隆 監督作品 3分)
11.「UNFIX 第一話」(田口清隆 監督作品 12分)・・・この二本は田口さんの新作短編。審査集計と表彰状作成の待ち時間を利用して上映されたモノだが「UNFIX」はぜひ続きを見てみたい。
IMG_0528.jpgと、いうことで最終的にはいつものように挙手による投票で優勝は「大怪獣ピーゴンあらわる!?」に決定。

準優勝は「ゾキラ・ゲボパ・ギギーメ/地獄の怪獣最前線」、田口清隆賞は「怪獣トリンドルを探しに行ってみた」がそれぞれ受賞した(ちなみに翌日の第13回別府大会ではなんとなんと田中まもるさんの「地獄の怪獣最前線」が選ばれたようで、呆気にとられつつも爆笑したであろう別府のお客さんの姿が目に浮かんでしまった)

今回の米子大会では残念ながら今まで何本かあった本格特撮怪獣モノ(「セイバルコン」や「ハジラ」みたいな)は無かったが、アイディアとアプローチの目新しさで感心できる作品が集まっていたように思えたし、あらためて自主映画の楽しさ、自由さ、面白さを体感した気がしている。

次回開催はたぶん来年になると思うけどまた行ける距離のところでやってくれたら、我が輩は必ず現地入りするつもりである。

最後に今回の旅行記はこちら本館ブログに書いてあるので、読んでも良いと思った心優しい方はリンク踏んでみてくださいませ。
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しろくろShow
Posted byしろくろShow

Comments 2

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トガジン  

胸を去らぬ思い出ゆかしキネマの世界

こんばんは。

「第八次米子映画事変」楽しんでこられたようで羨ましいです。
福井から米子へはクルマで片道6時間くらいかかりますので行くのは流石に厳しいですが、もし近隣で開催されて時間が取れれば是非足を運びたいイベントです。

でも、黒川3兄弟や米子高専といった高校生の作品を見たら、私はもしかすると涙ぐんでしまうかも知れません。
動画を見ているだけで、ロクに資金も無いくせになんとかして怪獣ものを撮りたいと必死に足掻いていた十代の頃が思い出されます。

大学時代には、サンルーフ付きの車に段ボールで作ったハリボテの戦車を被せ、天王寺の公道で「撃て―」とか叫んで怪獣攻撃シーンを撮ったものでした。
あ~、恥も外聞も道交法も無視して突っ走ったあの頃に戻りたい・・・

2018/11/29 (Thu) 00:51
しろくろShow

しろくろshow  

撮った映画をスマホで運ぶ時代

>トガジン さん

こんばんは、コメントありがとうございますm(__)m

ホント今回も面白かったですよ~(^^)

優勝した京都市立深草中のあの素朴な味わいをもう一度見たかったのですが、動画配信はされてなかったみたいで(私が見つけられなかっただけかもしれませんが)そこは残念でした。

こうした中高生の作品って見ているとつい思い入れが先走ってしまいますよね。私は自主映画にはじめて噛んでいたのが15歳の時だったんで、モノスゴク共感してしまいました(レベルは彼らの方が私より数段上ですけど(;´Д`))

>>高校生の作品を見たら、私はもしかすると涙ぐんでしまうかも

わかります、わかります(ーー;) 自分のことを思い出しつつも、若い子達の一生懸命な姿に心洗われるモノを感じてしまいますよね。

そういえば一度この大会はみなみ会館でも開催されたので、今度は新館の方でやるかもしれませんね(みなみ会館と言えば明後日12/1にtwitterで重大発表と書いてあったので、ついに新居が決まったのかもしれません)

2018/11/29 (Thu) 19:05

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