伽椰子なんかひとひねり、腐った井戸水を飲んでるからね、からよ、からさ?
「貞子対伽椰子」
上映が終わるまで少ない客席(それでも20人くらいはいたかな)から「ひゃっ(>_<)」みたいな悲鳴は一切上がらず、ほぼ苦笑と小笑いの反応ばかりと言うことだけでコレがどういう映画だったかがわかる。そもそもこのJホラー界の二大スターについては既に存在がアイコン化しちゃってて、もう何をどうしようが今では映画の中で全然怖く感じることができないのね。なのでこの映画が何のジャンルに属するのかと聞かれたらもはやホラーのそれではなく、どちらかと言えば「妖怪大戦争」や「ゲゲケの鬼太郎」のような妖怪/モンスター映画として楽しむべきではないかと思うのである。
考えてみれば我が輩各の主演作で鑑賞済みなのは「呪怨」が三作(栗山千明が出ていたビデオ版と奥菜恵の劇場版一作目、及びハリウッドリメイク版一作目)同じく「リング」も三作(貞子が巨乳だったテレビ版と劇場版一作目+ハリウッドリメイクの一作目。「リング〇バースデイ」は録画済みテープを途中から上書きしてしまって半分しか見られなかった・・・(;´Д`))だけだったので概要しか理解はしてなかったけど、特にオリジナルとの繋がりはない映画だったので無理に過去作を見ておく必要はないはずだ。
で、このタイトルを聞いた瞬間私のような特撮ファンであればおそらく真っ先に「キングコング対ゴジラ」を連想することだろう。
「ねー、貞子と伽耶子どっちが強い?」
「買った!そのアイディア!・・・「貞子vs伽耶子」!」
と、企画の段階でそんな会話が交わされていたのではと思わず勘繰ったし、二つの脅威に対する人間側の対抗策が「両雄並び立たず、双方共倒れが狙いです」になるのはそのまんまだったしね( ̄。 ̄;)←安藤政信扮する謎のイケメンエクソシストが「バケモンにはバケモンを当てるんだ!」と言った場面で館内この日最大の苦笑が発生。それでキンゴジじゃないけど最終対決まで持って行くのに時間節約の問題もあるため若干のルール変更があり、貞子側は呪いのビデオを見たら即コールバックの電話がかかってきて(しかし出前の確認連絡じゃないんだから(__;))その人の「死」が二日後に確定するというもの。
以前であればビデオを見て一週間以内に誰かへテープを手渡してその人がそれを見れば呪いから逃れられた筈だが、この映画の中ではその辺が曖昧(結局貞子を倒さないと解決しないという流れに持って行くための方策ではある)一方伽椰子と俊夫の呪怨タッグチームは舞台設定がいつも通りのパターンではあるものの、あんまり引っ張らずにどんどん姿を現すのは貞子と同様。
それで最後は例の井戸らしきものを挟んで二人(二匹?)の怪物が戦うわけだけど、オチの場面では我が輩地味にウケてまった(^0^;)(館内では数人の方が爆笑していたが)あんなやけくそな終わり方もアリだなと。あと聖飢魔IIが唄うエンディングテーマ「呪いのシャ・ナ・ナ・ナ」を気に入ったので覚えたら今度カラオケで唄ってみよう。
「クリーピー/偽りの隣人」
こちらは大真面目なサスペンススリラーと思っていたが途中からちょっと風向きが変わっていく。見ていると状況設定やキャラ付けに穴がありすぎてそこかしこで「え?え?おかしいやん」と思わせるような矛盾が大量発生しているものの、全体の雰囲気が完全にホラー映画の空気になっていて「貞子vs伽椰子」の何倍も恐ろしい場面が続出していたのだった(たとえば一目でわかる特徴だと照明の使い方が見事だったし、陰影のコントラストだけで「うわ、コワ!(×_×)」と思わせるのはたいしたもの。この辺は黒沢清監督お手の物のホラー感覚)
そしてたまたまだろうけどこの日見た映画はどちらも実際の本編内容とジャンルイメージが合致しないという共通点(ホラーの筈の「貞子vs伽椰子」→実は怪獣映画。サスペンス映画の筈の「クリーピー」→実は白日夢風のホラー映画と言ったような)を持っていたのも偶然の連鎖。
入り口は普通の犯罪ドラマの作りだが途中から一風変わった不思議なサイコホラーに転がっていくのが私はなかなか面白かったと思っている。純粋な推理物が好きな人には物足りないかもしれないがシュールな恐怖映像系が好きな人ならたぶん満足できる内容と言えるのでは(ひょっとしたら原作はもっとちゃんとした推理小説かもしれないので週末買ってきて読むつもり)
それからこれは言っても仕方のない話だと思うのだけど、主演の西島秀俊はともかくとして香川照之の役をもっと無名のあまり知られてない俳優さんでやった方がさらに怖くて気持ち悪い"厭度"がアップしていたような気もする(香川照之はめっちゃ上手いのでこの役もハマってるんだけど、もうひとつ意外性を感じないところもあって)
そんなわけで今回は二本とも大当たりとまでは行かないが、それなりに楽しい出来の映画だったと言えましょう(たぶん入場料分は元取ってるはず)
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